中小企業においても、IT化による労働生産性の向上と企業競争力の強化は待ったなしの状況にあります。なかでも見込み客の育成と営業効率のアップを図る企業で導入が進んでいるのが「CRMツール」です。
さまざまなCRMツールがありますが、使いやすさと価格の安さで導入する企業が増えているのがZoho CRMです。中小企業における社内定着率の高さも注目されています。
しかし、低価格とは言ってもCRMの導入には少なからず費用がかかります。そこで活用したいのが2017年にスタートした「IT導入補助金」です。
IT導入補助金を利用するメリットは費用負担が軽減するだけでなく、支援業者のサポートを受けることで定着率や活用率の向上が期待できることにあります。
そこで本記事では、IT導入補助金の申請ステップと採択されるためのポイント、支援業者の選び方をわかりやすく解説します。CRMツールの導入に予算面で悩まれている場合はぜひ参考にしてください。
最初にIT導入補助金の申請ステップについて説明します。
申請する際は大きく分けて下記の4ステップにわけて進めます。
この中でも特に重要なのは、事前の準備とIT導入支援業者の選定です。
IT導入補助金は、企業がITシステムの導入にかかった費用の一部を補助する制度です。
費用負担が軽減されるとしても、本当に効果的な導入でないと結局はコスト損・骨折り損になりかねません。
そのような失敗を起こせないために大切なのが「事前調査」と「準備」です。
CRMの導入を念頭に置いたIT導入補助金の申請前に行うべき準備には次の4つがあります。
1つ目は、自社の事業課題を「情報共有と活用」および「業務効率化」の観点から把握することです。
2つ目は、IT化によって上記の課題をどう解決できるかを、できるだけ具体的にイメージします。その際に有益なのが、自社に似た業種のIT活用事例の研究です。
3つ目は、IT化推進の中心となる人物の選定です。経営者はその人物に必要な権限を与えて、経営者も含めて担当者が積極的にIT化の推進に取り組む必要があります。
最後に、IT導入支援事業者の必要性と役割を理解することです。情報システム部門がなく専門のIT要員がいない中小企業では、業務のIT化に支援業者のサポートは必須と言っても過言ではありません。(詳しくは事項で説明します)
IT導入補助金の申請要件の1つに、IT導入支援事業者の選定があります。
補助金を申請する企業は、事務局に認定・登録されたIT導入支援事業者の中から1社を選定して、申請や計画実施のサポートを受けなければなりません。
IT導入支援事業者の役割は次の2つです。
国の補助金申請の支援事業者というと、行政書士や中小企業診断士をイメージする人が多いと思いますが、IT導入補助金の場合はITシステムの構築や運用に詳しい開発ベンダーや販売代理店などのIT専門業者が担当します。
具体的には次のようなことを支援業者が実施し、企業と共同でITツールの導入から運用までをサポートします。
ちなみに、CRMサポートセンター(株式会社etika)もIT導入支援事業者の認定企業です。
IT導入支援事業者のサポートを受けながら、申請に必要な書類を整えて申請します。申請は登録しておいたポータルサイトの「申請マイページ」から行います。
必要な書類は、事業計画書や費用見積書、IT導入支援事業者との契約書などです。
申請に基づいて事務局が審査し、審査が通れば交付決定が通知されます。
審査は落とすための審査ではないので、補助金の趣旨に沿った事業計画で、書類に不備がなければ通る可能性が大です。審査中に追加書類の提出や説明が求められることもあります。
補助金の交付決定通知を受け取ったら、実際にITツールを導入しその代金を支払ったことを領収書などを添えて事務局に報告します。
この報告を「事業実績報告」といいますが、ここでいう実績とは導入したという実績です。導入して1年後、2年後などに行う「事業実績効果報告」とは違います。
事務局は事業実績報告を受けて、交付金額を確定する「確定審査」を行います。確定審査は報告した金額に不正や誤りがないかを確認する審査で、内容的な審査ではありません。
実際の交付申請を行いたい方は「中小企業・小規模事業者等のみなさまの手続き)」から申請を行ってください。
リンク先のサイトを見ても申請や手続きが難しく感じる場合は、CRMサポートセンターに気軽にお問い合わせください。手続き方法をわかりやすくご説明します。
申請ステップの概要がわかったところで、改めてIT導入補助金がどのような制度なのか解説します。
経済産業省は、あらゆる企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に早急に取り組み、2025年までにはある程度まで推進しておく必要があると提唱しています。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が資金不足が理由でDX、業務のIT化を推進できないことがないように補助するのが目的です。
補助金の対象となるのは、ITツール導入費用、ITコンサルティング費用、ITシステム改修費などです。
IT導入補助金には下記の5つの枠があります。そのうちCRMの導入に関係するのは、通常枠A類型、通常枠B類型、デジタル化基盤導入類型の3つです。
IT導入補助金2024年
参照:IT導入補助金2024
通常枠は、自社の課題に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップを目指す中小企業をサポートするものです。費用対象になるのは、ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年間)、導入関連費(支援事業者への支払いなど)です。
インボイス型は、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトなど、企業間取引のデジタル化を推進することを目的としています。費用対象になるのは、ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年間)、導入関連費、ハードウェア購入費です。
Zoho CRM単体またはZoho CRM Plusの導入は「通常枠」の対象です。Zoho Oneの導入をする場合は「インボイス型」の対象になります。
Zoho Oneがインボイス型の対象になるのは、システムに「受発注ソフトウェアと「決済関連ソフトウェア」を含むためです。(下表参照)
補助金の対象となるのは、下記の条件を満たす企業または個人です。
gBizIDプライムとは、補助金の申請などに必要な法人代表者や個人事業主のアカウントです。印鑑証明書と登録印鑑を押した書類を運用センターに郵送すると2〜3週間で発行されます。
2024年のIT導入補助金の申請期限について説明します。
「通常枠」では1次から7次までの募集がありました。
1次締切分を例にとると下記のようなスケジュールで実施されています。
ここでいう「事業実施期間」とは、交付決定からITツールを契約・購入するまでの期間です。「事業実績」とは、実際にITツールを購入してその代金を支払ったという実績です。導入によってあがった成果という意味ではありません。
2次以降も同様のスケジュールで、各締切日は次のとおりでした。
「インボイス枠」では1〜5次までの申請期間が設定されました。
2023年8月に本年度前期の申請件数、交付決定件数が公表されました。それをもとに採択率を算出すると下表のようになります。
参照:交付決定事業者一覧 | 中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金2023
不採択の理由は書類の不備、申請内容が薄い、申請内容が補助対象外などが主なため、経験豊富なIT化支援業者のサポートを受けて申請すれば採択される可能性は高いと言えます。
IT導入補助金の申請には、事務局に認定されたIT導入支援事業者を選定してサポートを受ける必要があります。
また、申請のためのみでなく、導入後にツールを活用して成果を上げるためにも、IT導入支援業者とのパートナーシップが重要です。
上述したように、IT導入支援事業者からはさまざまなサポートを受けられます。
ITツールの導入、とくにCRMのような多機能のツールの導入では、社員が使いこなせるか、活用が社内に定着するかがもっとも重要です。そのために欠かせないのが支援業者のサポートです。
IT導入支援事業を選ぶ際は、支援事業者のサポートを確実に実行してくれるパートナーを選ぶことが大切です。
多くの企業は実施すると思いますが、その中でも特に次のようなポイントで支援事業者を選ぶことをおすすめします。
IT導入の支援事業者はITツールを導入するために重要な存在なので、しっかりと精査していきましょう。
支援業者を調べたい方は下記のサイトから検索できるので参考にしてください。
見込み客の育成や営業効率を上げる重要性などは、おそらくほとんどの企業が理解しているはずです。ただ、そのためのツールを導入する予算がないために営業のDX化などが進んでいない企業が多いのではないでしょうか。
ここまでお読みいただいてわかるように、IT導入補助金を利用するメリットは費用負担が軽減するだけでなく、導入支援業者との伴走によって「失敗しないツール導入」が可能になることです。つまり、社内に定着するツールの導入ができます。
そのため、ぜひIT導入補助金を上手に活用してZoho CRMなどのITツールの導入を検討してみたはいかがでしょうか。
IT導入補助金でZohoを導入する詳しい方法や申請ステップを聞きたい方は、以下の申請フォームからお気軽にご相談ください。