CRMは現在のビジネスにおいて欠かせない存在になっています。インターネットやSNSの普及により購買行動が変化しているため、顧客情報に加えて、顧客とのコミュニケーション履歴なども記録して営業活動やマーケティングに活用する必要があります。
ただ、CRMを導入することで具体的に自社にどのような影響があるのかわからないのではないでしょうか。
そこで本記事では、CRMの導入によって得られるメリットや導入までの基本的なプロセスを解説します。CRMに関する知識を深めて売り上げを増やしていきましょう。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係を管理・維持することで企業の売り上げの向上を目指す経営手法のことです。
基本的に広義の意味でのCRMは経営手法の意味ですが、狭義の意味では次のような定義があります。
SalesforceやZoho CRMなどの「CRMツール」のことを単にCRMと呼びます。本記事でもCRMを「狭義の意味」で定義して解説しているので注意して読み進めてください。
では、まず改めて「CRMの基本的な機能」と「導入が重要になる理由」を説明します。
CRMは顧客情報をすべて管理して、施策を顧客一人ひとりに最適化することを目的としたツールです。
CRMにはビジネスにおける重要な情報を管理して、効率的な営業活動を行うための次のような機能が備わっています。
これらの機能を使うことで、お客さまのニーズやタイミングに合わせたアプローチを実施できる企業の売上向上に欠かせないツールなのです。
ただし、備わっている機能はCRMによって異なるため、自社の業務内容や目的に合わせた製品の導入が重要です。
CRMについて調べているけれど、本当に自社に必要なのか導入に悩んでいる担当者の方もいらっしゃるでしょう。
CRMの導入が重要な理由は大きく3つ挙げられます。
1つ目は「営業プロセスの効率化」がますます必要になってくるためです。
日本は12年連続で人口が減少しており、人手不足が加速しているので、営業活動におけるさまざまな業務を効率化させていかなければなりません。見積書や発注書の作成などの事務作業だけでなく、承認ワークフローもデジタル化する必要があります。
これらの営業活動を効率化するために必要な機能はCRMに備わっています。つまり、営業プロセスの効率化=営業DXを実現するためにはCRMが欠かせないということです。
2つ目は「カスタマーサクセスのニーズが増えている」ことも関係しています。
カスタマーサクセスとは、既存顧客の売り上げを拡大する取り組みのことです。近年は、企業が安定的に業績を上げるために「LTV(生涯顧客価値)」が重要視されています。LTVを上げるためには、既存の顧客と継続的な関係を築いていくことが大切です。
ただ、営業担当者が退職することで既存顧客との関係が切れてしまうことはよくあります。必要な情報がシェアされておらず対応が疎かになってしまい、お客さまが離れていってしまうのです。
これではお客さまの売り上げに貢献できず、継続的な取引を行うことが難しくなります。
そのため、CRMを使ってお客さまの情報や成功体験を管理して支援する仕組み作りが必要です。
3つ目は「人々の購買行動の変化」です。
BtoBの企業では顧客との接触方法がコロナ前とコロナ後で大きく変わりました。コロナが起きる前までは、展示会や交流会などのオフラインを中心に営業活動を行っていたのではないでしょうか。
しかし、2019年のパンデミック以降は「Zoom」や「ウェビナー」といったオンライン上でコミュニケーションを取る企業が一気に増加しました。
B2Bマーケティング株式会社の「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート2023」でも、商材検討時に召集した情報源は各種Webメディアが47.9%と半数近くありました。
したがって営業活動においても、今までの展示会のようなオフラインによる集客とWebを使ったオンライン集客の両方で新規顧客にアプローチできる環境が必須になります。
CRMが必要になる理由は「福岡でZOHO CRM導入支援、コンサルティングなら株式会社etikaへご相談を」の記事でも解説しています。本記事と併せてこちらもチェックしてください。
CRMの導入が必要なことはご理解いただけたと思いますが、CRMを導入することで何が実現できるのでしょうか。
「顧客情報はきちんと管理できている」と思っている企業でも、目的に応じてExcelや他のツールなどを使い分けていることがあります。顧客情報がさまざまな場所に保管されている場合、ファイルを探したり、顧客データを確認したりするのに時間がかかります。部署同士での情報共有も難しいのではないでしょうか。
結果、顧客対応が遅れてしまい失注につながる可能性があります。
CRMはすべての情報をまとめて一元管理することが可能です。ひとつのツールで個人情報や問い合わせ履歴、商談履歴などの情報を管理することで顧客への対応がよりスムーズにでき、業務効率も上がりやすいです。
上述したように顧客情報の一元管理ができると、CRMに顧客データが蓄積されていきます。そのデータをもとに、売り上げ向上につながる施策を顧客一人ひとりに対して実施できるようになることもCRM導入の効果です。
たとえば、次のような営業活動が可能になります。
これまでの経験や知識に頼っていた施策から、実際の顧客データを用いて的確な営業活動ができるようになるのです。
CRMの導入により顧客情報や販売状況などをリアルタイムで共有可能になることも営業活動やマーケティングに活かせるポイントです。
担当者が更新した情報が瞬時にそれぞれのCRMに反映されるため、情報の伝達が遅れることがありません。もし担当者がいない場合でも、顧客からの質問にすぐに最新情報を提示できます。
上司や担当者に確認する時間が減ることで、顧客満足度も向上するでしょう。
CRMはさまざまな営業活動のサポートを広範囲にわたってカバーできることも魅力のひとつです。幅広い業務をCRMで効率化することにより、作業が単純化され、コストダウンにつながります。
例として、下記の画像はCRMサポートセンター(株式会社etika)がおすすめしている「Zoho CRM」の業務カバー範囲です。
参照:営業DXを成し遂げるためのCRM/MAツール選定のポイント
お客さまを獲得するためのマーケティング段階からその後の営業事務まで幅広い範囲をカバーできます。承認プロセスも自動化できるので社内でのやり取りもスムーズになるでしょう。
このようにCRMを導入することでさまざまな業務が効率化されるようになります。
CRMを導入するための稟議書を通すためには、しっかりと導入のステップを明確にしておかなければ承認はおりないでしょう。上司から費用対効果や導入後の定着率について質問されて答えられなければ導入は進みません。
そこでこの項目ではCRMの導入手順を大きく次の4ステップに分けて解説します。
それぞれの項目の留意点もお伝えするので、しっかりと確認して稟議書を作ってくださいね。
「CRMを導入したけど失敗した」という企業は非常に多くいます。
失敗の原因のほとんどは、導入前の段階でCRMを使う目的やどの業務を割り当てるかなどを明確にしていないことが関係します。目的や用途がわからないので、確認が多くなって既存システムからの移行がスムーズにできなかったり、操作に戸惑い現場の負担が増加したりしてしまうのです。
CRMの導入前に重要になることは「CRMを使って自社のどんな課題を解決したいのか?」について徹底的に考えること。
「業務プロセスが複雑化しているので自動化させたい」
「お客さま一人ひとりに合わせた施策を打ちたい」
このように、目的や用途をハッキリと定義することで、導入後に「なんのために使うの?」という食い違いが起きないようになります。基本的なことですが、明確に定義していない企業が多いのでしっかりと確認しておきましょう。
CRMを導入する目的が決まったあとは、自社の業務プロセスを棚卸しする作業が必須です。CRM導入後にどのような業務プロセスになるか、最適な方法を考えましょう。
もし単準に既存の業務をCRMに置き換えてしまっては、効率化されて浮いた時間を社員が持て余すことになってしまいます。これではトータルコストが下がったとはいえません。
CRMを導入したあとにマーケティング手法や営業活動の確認、受注後に必要な処理や手続きがどう変わるのかしっかりと考えておきましょう。
導入に至るまでのステップの中で多くの企業が軽視しがちな工程ですが、CRMサポートセンター(株式会社etika)では特に大切な作業だと考えているのでぜひ取り組んでください。
CRMサポートセンター(株式会社etika)では、次の4つの条件を満たすCRMであればどのような目的や用途であっても対応できると考えています。
数あるCRMの中から自社に最適なツールを選ぶのは難易度が高いはず。「有名だから」という理由だけでしっかりと比較検討せずにCRMを導入しても、失敗するのは目に見えていますよね。
そのため、最低でも上記4つの基準を満たすCRMの導入を検討するのがおすすめです。そして、可能であれば1ツールですべての業務をカバーすることで、社内の浸透もスムーズに進みコストパフォーマンスも良くなります。
CRMの選定についてさらに詳しく知りたい方は「営業DXを成し遂げるためのCRM/MAツール選定のポイント」の記事で解説しているので、本記事と併せてチェックしてください。
導入するCRMの選定ができれば、あとは運用を始めるだけです。
ただし、導入後に社内でCRMがあまり活用されないことがよくあります。これはCRMの導入で多くの企業が経験することです。
新しいシステムの運用を定着させるためには、管理者が率先して活用していくことが大事になります。積極的に使って使い方を社内の誰よりも理解してメンバーに教えましょう。
そして「なぜCRMを導入したの?」とならないように、CRMの導入目的を共有し続けてください。導入することを目的とせずに、業務を効率化させ、的確な営業活動ができるように行動することが大切です。
CRMの導入後によくある失敗例を「CRM導入が失敗するのはなぜ?! 成功事例から見えたポイントを解説」で紹介しています。不安を少しでも解消しておくために、ぜひこちらもご参照ください。
安定的に利益を出すためには顧客との継続的な取引が大切です。既存顧客とできるだけ長く取引をしてもらうために、スムーズな対応と顧客の売り上げ最大化に寄与する必要があります。
そして、そのためには「Salesforce」や「Zoho CRM」のようなCRMの導入が欠かせません。CRMを導入することで、顧客情報の一元管理や顧客に合わせた営業活動・マーケティング施策を打ち出すことが可能になります。
現状の顧客管理方法に少しでも不満がある場合、CRMはあなたの悩みを解決できるかもしれません。ぜひ本記事をきっかけに、CRMの導入を検討してみてはいかがでしょうか。